派遣社員でも健康保険はある?
日本では、その人の職業や年齢などで加入する健康保険が変わります。派遣社員の場合は、どのような健康保険に加入ができるのでしょうか。今回は、健康保険などの社会保険の種類や加入の条件などを挙げながら、派遣社員が加入できる保険があるのかを解説します。派遣社員が健康保険に加入した場合のメリットも最後に紹介しましょう。
派遣社員でも健康保険はある?そもそも健康保険とは
労働者が加入する保険には、いろいろな種類があります。代表的な保険をここではまとめてみました。
健康保険
健康保険は、健康保険法のルールに則って運営されている医療保険です。会社員などの労働者は、一定の条件を満たせば勤務先の企業が加入する組合健康保険や、全国健康保険協会の協会健康保険などの被保険者となることができます。自営業者や年金受給者などは、自治体の国民健康保険に加入をします。健康保険の被保険者は、実際にかかった医療費の一部を負担することで医療を受けることが可能です。
厚生年金
厚生年金は、国民年金と同じく国が運営している公的な年金保険です。この年金保険では、労働者が所得に比例した保険料を積み立てます。積み立てた保険料の金額で、受け取れる年金の額が変わる仕組みです。厚生年金の加入者が受け取れる年金には、老齢年金や障害年金、遺族年金などがあります。厚生年金に加入している人は自動的に国民年金第2号被保険者になるため、国民年金と厚生年金の両方が受け取れます。
雇用保険
厚生労働省が管轄する労働者のための保険が、雇用保険です。雇用保険の被保険者になると、要件を満たした場合に失業給付金や教育訓練給付金、就職促進給付金、雇用継続給付金などが支給されます。
労働災害補償保険
労働災害補償保険は、勤務中や通勤中のけが、病気、事故などの際にさまざまな給付金が受け取れる制度です。休業補償や療養補償の給付金、遺族補償年金などは、労働災害補償保険の給付金の一例です。この保険制度では、被保険者に起こった事象が労働災害に該当することが給付金支給の条件となります。
介護保険
介護保険は、40歳以上の人を対象にした制度です。この保険に加入をしていると、要介護認定を受けたときに居宅介護支援や訪問介護などの介護サービスの費用が給付されます。給付の対象は主に65歳以上の人ですが、関節リウマチなどの特定疾患に該当する場合は、40歳以上64歳未満の人でも給付が受けられるケースがあります。
派遣社員が健康保険に入る条件はある?
派遣社員が組合健康保険や協会健康保険に加入するには、2つの条件があります。1つ目の条件は、契約期間が2カ月以上であることです。条件の2つ目は、勤務時間が週30時間以上で、勤務先で働く正社員の4分の3以上になっていることです。正社員が週5日勤務の職場の場合、フルタイムで週4日以上働いていれば、派遣社員でも組合健康保険や協会健康保険に加入できる可能性があります。派遣社員の厚生年金や介護保険の条件も、健康保険とほぼ同じです。いずれも、契約期間が2カ月以上で勤務時間が週30時間以上、正社員の4分の3以上であれば、加入が可能です。
ちなみに、健康保険、厚生年金、介護保険は2016年からは加入条件が緩和されています。2016年以降は、501人以上の企業で働く場合に限り、勤務時間が20時間以上で労働期間や賃金などの条件を満たせば、これらの保険に加入ができるようになりました。雇用保険の加入条件は、勤務時間が週20時間以上、1カ月の雇用期間が31日以上です。このような条件を満たしているときは、派遣社員も雇用保険に加入ができます。労働災害補償保険は、雇用形態に関係なく勤務先が加入していれば適用になる保険です。1人以上の従業員を雇う雇用者は、業種を問わず労働災害補償保険に加入することが必須になっています。
派遣社員が健康保険に加入するメリットとは
企業などが加入する健康保険には、国民健康保険とは違った手厚い保障が用意されています。たとえば、病気やけがで欠勤したときには、4日目から傷病手当金と呼ばれる給付金が支給されます。給付金は、標準報酬日額の3分の2の金額です。支給期間は最高で1年6カ月まで延長されるため、契約期間が長い場合は受け取れる金額も多くなる可能性があります。このほか、出産手当金がもらえたり、育児休業中の保険料が免除されたりする点も派遣社員が健康保険に加入するメリットです。
組合健康保険や協会健康保険は、発生する保険料が安く抑えられるのもメリットと言えます。これらの保険は、事業所が保険料の半分を被保険者に代わって負担してくれます。また、組合健康保険や協会健康保険の保険料は支給された給与の金額で決まるため、国民健康保険のように資産割額が保険料に加算されてしまうことはありません。
条件を満たしているときは派遣社員も加入を考えてみよう
勤務先の健康保険は、正社員でなくても条件が合えば加入の対象になります。派遣社員の人ももちろん対象になるため、条件を満たしているときは健康保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。加入するかどうかで迷ったときには、毎月の保険料がひとつのチェックポイントです。自分の希望なども考慮しながら、加入するかどうかを考えてみましょう。
※本記事の内容は全て2020年4月時点のものです